題烏江亭 2011 3 6

書名 中国名言便覧
著者 大島 晃(編) 三省堂

 中国古典は、知恵の宝庫と言えるでしょう。
私は、この本を座右の銘として愛用しています。
今日は、この本の中から、いくつか取り上げましょう。
「江東の子弟才俊多し、捲土重来未だ知るべからず」 杜牧詩「題烏江亭」
 (項羽の本拠地である)長江下流域には、優れた若者が多い。
恥を忍んで、いったん退却し、
彼らとともに、砂ぼこりを巻き起こすように再起すれば、
天下の形勢は、どうなっていたか、わからない。
 「烏江」は、安徽省にある長江の渡し場。
漢の劉邦に攻められ敗走し、ここに至った楚の項羽は、
亭長が用意した船で江東の地に渡るのを断り、壮絶な最期を遂げた。
「勝敗は兵家事期せず、羞を包み恥を忍ぶは是男児」
 勝敗は兵家の常の事、時によって、どうなるかわからない。
負けても恥辱を忍ぶのが男たるもの。
 もうひとつ、この本から取り上げましょう。
「民の口を防ぐは、川を防ぐよりも甚だし」『国語』(周語)
 言論を抑圧するのは、川を塞ぐより危険である。
周の脂、が、自らの悪口を言う者を弾圧して、
民衆の口を塞いでしまったことに対して、
大臣の邵公が王を諫めた言葉。
 川を治めるのに、川の流れを塞ぎとめれば、
決壊した場合には、多大の被害が出ることになる。
滞りつかえたところを通して、水の流れを順調に導いてやるほうがよい。
 民衆を治めるのも同じで、
自由に発言させたほうがよく、言論の弾圧は国にとって危険だという。
(注)
 念のため、書いておきますが、
最初の「江東の子弟才俊多し」は、日本国内のことを見て、
次の「民の口を防ぐは」は、最近の国際情勢を見て、私が思ったことです。













































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